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介護施設に入居される際に、経済的負担を軽減するための制度が「高額介護合算療養費制度」と「高額介護サービス費制度」です。また、医療費控除や介護リフォーム補助金など、活用したい制度もいくつかありますが浸透していないのが現状です。ここではご家族の経済的負担を減らすことのできる制度にはどんなものがあるのか、詳しく解説していきます。
医療費控除や給付金。活用したい制度
日本の社会保障制度は世界的に見てもかなり充実しています。しかし、条件を満たせば受けられるのではなく申請等が必要な制度も多く、知らないと損をしてしまうこともあるでしょう。
実際、このような制度を多くの方が知らないことが、老人ホーム・介護施設に入居している方のご家族518人への調査でわかりました。
上記の表を見ると、知らなかった方が半数を超えていることがわかります。ご家族に、十分な介護サービスを受けさせたくても、経済的な事情で断念された方もいるはずです。あるいは、経済的な負担を諦めて受け入れている方もいるでしょう。制度の正しい知識を身につけしっかり活用し、損をしないようにしたいものです。
ちなみに、どちらの制度も申請が必要になります。申請を受け付けているのは、各自治体の「介護保険窓口」「医療保険窓口」です。まずは窓口で相談してみましょう。
介護保険施設での医療費控除
介護保険施設の中には、施設サービスでかかる費用を所得税の医療費控除という形で負担額を減らすことができる施設もあります。
医療費控除の対象となるのは、以下の4つの施設です。
これらの施設が提供する施設サービスのうち、療養上の世話に対する負担額は、医療費としてとらえられるのが、医療費控除の対象になる理由。老人ホームに入居しているご家族のために支払った費用の領収書は、捨てないで残しておきましょう。
家族介護慰労金
介護が必要であるにもかかわらず、家族以外の介護を拒否したり、他人に家に入ってもらいたくないと考えたりして、介護保険サービスの利用はせず、家族だけで介護しているケースもあるでしょう。
要介護4~5に認定された要介護者のいる家庭において、介護保険サービスの利用なしに自宅で1年以上介護している場合、家族介護慰労金の対象になります。
もらえる額は年額10~12万円ほど。自治体によっては実施していなかったり、条件が異なっていたりするため、自治体への確認が必要です。
その他の保障制度
介護で仕事を休んだときの補償制度として、「介護休業給付金」制度があります。これは、要介護状態にある家族を介護する方が、通算93日まで取得できるという制度です。育児休業給付金と同じく雇用保険から支払われるので、会社に申請を出すことで、休んだ期間の金銭的保障を受けることができます。
介護リフォームの補助金
高齢者の自宅での転倒・転落事故が多いことを踏まえ、要介護・要支援認定を受けたらできるだけ早く居宅をバリアフリー化し、事故発生を未然に防ぐことが大切です。介護リフォームとは、手すりを設置したり段差をなくしたりと、自宅を介護しやすい環境に整えることを指します。介護リフォームのための補助金は居宅介護住宅改修費といい、支給限度基準額20万円の9割が上限として支給されます。
基本的には要介護・要支援者ひとりにつき1度まで利用することができますが、転居したときや要介護区分が3段階上がるなど要介護状態が高くなったときは、再度20万円を限度に支給されることもあります。
まとめ
老人ホーム、介護施設への入居を考えるときには、公的な保障制度を活用することで、ご家族の経済的な負担を軽減することができます。しかし、いまだに多くの方は、正しい知識がないばかりに、介護による経済的負担を抱え悩んでいるのが現状です。
国の保障制度は、かなり細かい部分まで充実。申請しないと受給できないものもあるため、どんな保障があるのかを把握することが、家族の負担を減らすことにつながります。保障を活用しながら、よりよい介護サービスを選択しましょう。