この記事では、酸化防止剤とは何なのかや、なぜ多くの化粧品には酸化防止剤が使われているのか、どのような酸化防腐剤があるのか、そして酸化防止剤の安全性について解説します。
化粧品に入っている酸化防止剤って何?
酸化防止剤は、化粧品に含まれる油脂類の劣化を防ぐものです。
油脂類の劣化は、酸化という化学反応によって引き起こされます。酸化とは、ある物質が空気中の酸素と化合することを指し、金属がさびてしまうのも酸化現象の一種です。
酸化防止剤がどのように働いているかというと、油脂類に代わって酸化防止剤が酸化することで酸化を防いでいます。言わば、酸化防止剤が身代わりになっているのです。
油脂類は酸化してしまうと、変色したり匂いが変化したりします。同様の変化は食品にも起こるため、酸化防止剤は食品添加物として用いられることも一般的です。
以上のように、化粧品が劣化しないよう、酸化防止剤は添加されているのです。
化粧品に酸化防止剤を配合する理由
酸化防止剤は、化粧品を長持ちさせるために使われています。
ある物質が空気中の酸素に触れることで起こるのが酸化現象です。化粧品が未開封であれば、中身が空気と触れることがないため、化粧品は酸化しません。
しかし、一度化粧品を開封すれば、中身と空気が触れることで徐々に酸化が進行していきます。酸化が進むことで化粧品の油脂類が変質し、色や匂いが劣化してしまうのです。
ある程度の期間化粧品を酸化から守るため、酸化防止剤は配合されています。
化粧品に入っている主な酸化防止剤
ここまでの解説で、酸化防止剤の役割となぜ化粧品に使われるのかは理解できたでしょう。
では、化粧品に含まれる酸化防止剤にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な酸化防止剤を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
トコフェロール
トコフェロールは、植物由来の脂溶性ビタミンです。1920〜1930年頃にネズミの不妊症研究で発見されました。
植物の油脂成分から抽出することで作られるほか、化学合成によって作られることもあります。
一般的な名称はビタミンEです。古くから酸化防止効果を持つ物質として知られ、食品や医薬品など、幅広く利用されています。
出典:ビタミンE|一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所
ジブチルヒドロキシトルエン
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)は化粧品で多く用いられるほか、油分の多い食品にも用いられる酸化防止剤です。
別名「ブチル化ヒドロキシトルエン」と呼ばれることもあります。
ブチルヒドロキシアニソール
ブチルヒドロキシアニソール(BHA)は化粧品のほか、ゴム製品や石油製品などに用いられる酸化防止剤です。
上記「ジブチルヒドロキシトルエン」と共に使うと効果的と言われています。
没食子酸プロピル
没食子酸プロピルは、バターなど油分の多い食品にも使われることがある、食品添加物の一種です。「没食子酸」は、「もっしょくしさん」または「ぼっしょくしさん」と読みます。
先ほど紹介した、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソールより強い酸化防止効果を持っています。
「防腐剤フリー」の化粧品は酸化防止剤が入っていないの?
「防腐剤フリー」をアピールしている化粧品も、酸化防止剤が含まれている可能性はあります。防腐剤と酸化防止剤はどちらも保存料の一種ですが、それぞれ異なるものです。
防腐剤は、カビなどの雑菌に対して殺菌効果を持つ物質が用いられます。酸化防止剤の効果が油性成分の酸化防止であるのに対し、防腐剤の効果は水性成分の傷み防止です。
使用目的が違うものですから、「防腐剤フリー」であっても酸化防止剤が入っていないとは言えないでしょう。
化粧品に入っている酸化防止剤は安全なの?
1日摂取許容量内で使用する限り、基本的には安全です。酸化防止剤など、添加物の安全な使用基準は法律により定められています。
1日摂取許容量は、人間が毎日摂取し続けても健康に影響がない量です。まず実験を通して添加物の無害な量を決定し、さらにその無害な量を1/100にした量を、1日摂取許容量としています。
過剰な量を使用すれば健康に害を与える可能性はありますが、通常の使用量であれば害になることはありません。
出典:安全性に対する考え方|一般社団法人 日本食品添加物協会
化粧品を安全に使うために知っておくこと
まずは化粧品の説明書をよく読み、使い方や使用上の注意点をきちんと理解しましょう。肌の状態は季節によっても変わるので、使用量はあくまで目安となります。
化粧品を開封したら、できるだけ早く使い切りましょう。未開封であれば3年間程度は使用できますが、開封後は1年程度で使用に適さなくなります。
また、一度出した化粧品を容器に戻すのはやめましょう。雑菌が容器内に混入してしまい、化粧品が劣化する恐れがあります。
使用後はキャップをしっかりと閉め、高温・多湿や直射日光があたる場所を避け、保管しましょう。なお、極端に低温となる場所も適しません。
化粧品に入っている酸化防止剤の成分について知ろう
酸化防止剤とは何なのか、理解が深まったのではないでしょうか。
化粧品の劣化を防ぐために酸化防止剤は一役買っていますが、量が多ければ害を及ぼすため注意が必要です。