1人暮らしでも2人以上の世帯でも、毎月多くの支出を占めるのが食費です。少しでも食費を節約するための基本や買い物のコツ、調理を通じて食費を節約するポイントなどを解説します。加えて、光熱費の負担を抑えるための方法も押さえておきましょう。
一般世帯の1カ月の食費はどれぐらい?
毎月の食費を抑えるためには、まず1カ月にどの程度の食費を負担しているか、正確に把握する必要があります。まずは単身世帯(1人暮らし)および、2人暮らし以上の食費の平均をみてみましょう。
単身世帯(1人暮らし)の場合
総務省による2022年度の家計調査(家計収支編)によると、単身世帯の1カ月の食費は平均で39,952円となっています。1980年代と比較すると、時代を経るにつれて、徐々に食事にかける支出が減少傾向にあるようです。
家計全体の消費における食費の割合であるエンゲル係数は、年によって平均は異なるものの、全体としてみれば、現在に近づくほど小さくなっています。
1人暮らしでも食費以外のさまざまな支出が増えていますが、人によっては家計全体の支出のうち、食費が半分近くを占めているケースもあります。
一度、自分のエンゲル係数を確認し、全体の平均である25%を大きく超えるようならば、食費について見直してみる必要があるでしょう。
2人以上の世帯の場合
総務省の家計調査において、2人以上の世帯(平均人数2.9人)における1カ月の食費を確認すると、平均で78,531円です。
ご家庭によって食費の状況はかなり異なりますが、単身世帯の平均と比較してみると、家族が1人増えるにつき、19,000~20,000円ほど食費が増えています。
当然ながら世帯人数が増えるほど、食費を含めた支出は多くなりますが、エンゲル係数は1人暮らしと2人暮らし以上の世帯で、差はほとんどありません。
全体として25~26%の間に収まるケースが多く、この範囲を大きく外れて食費の割合が多い場合、節約を考えた方がよいでしょう。
食費を節約するための基本
毎月の食費を節約するには、以下の基本を押さえることが重要です。まずは毎月の食費の目安を設定し、自炊を意識するところから始めましょう。1人暮らしでも2人以上の世帯でも、節約の基本は変わりません。
毎月の食費の目安や上限を決めておく
食費を節約するためには、まず毎月(あるいは毎日)の食費の目安・上限をしっかり定めておき、その範囲内で支出を調整する必要があります。家計に占める食費の割合は一般的に、手取りの10〜15%がよいとされているので、参考にしましょう。
例えば、1人暮らしで手取りが200,000円ならば、毎月の食費は20,000~30,000円が目安になるわけです。
ただし、あくまでも参考額であり、もっと増やしたいと考える人もいるでしょう。確かに健康面を考慮すると、単に食費を節約すればよいわけではありませんが、全体の支出を考えた上で、適度な範囲に設定するのが重要な点は変わりません。
食費節約の基本は自炊すること
どういった生活をするにせよ、外食は基本的に割高なので、食費を抑えるには自炊が基本となります。
上記の1人暮らしの例(手取り200,000円)に当てはめると、仮に1日3食、全て外食をすると考えれば、1日1,000円以内に収める必要があるため、1食分に充てられる食費は330~340円となります。
栄養バランスの取れた外食をするには、なかなか難しい金額といえるでしょう。一方、自炊をする場合は、この程度でもバランスの取れた食事を作ることが可能です。
1人暮らしの場合は毎日自炊するのは難しいケースも多いため、ある程度は外食も許容すべきではありますが、節約のためには少しずつ自炊の頻度を増やしていくことが大事です。
食費を節約するための買い物のコツ5選
食費を節約するには自炊が基本ですが、無計画に食材を買っていると、食費を使いすぎてしまう可能性があります。以下のポイントを押さえつつ、上手に買い物をする必要があります。
買い物の前に必ず冷蔵庫の中身を確認する
まずは、余計な食材を買わないように、買い物の前に冷蔵庫・冷凍庫の中身をチェックする習慣をつけるようにしましょう。すでに購入してある食材を確認しておかないと、同じ食材を何度も買ってしまう可能性があります。
事実、食材を重複して購入してしまう人は多いので、無駄な出費を抑えるために、冷蔵庫や冷凍庫の中身は把握しておきましょう。無駄な買い物をしないだけで、毎月かなりの金額の節約になります。
価格の手頃なスーパーでまとめ買いをする
月に買い物に行く回数を決めておき、まとめ買いをすることも大切です。無計画に買い物に行くと、つい買いすぎてしまう可能性があるので注意しましょう。たとえ冷蔵庫の中身を把握していても、スーパーの特売などで食材が安く売られていると、つい重複して購入してしまう人は少なくありません。
基本的な方針として、食材が不足した場合は、その都度必要な分のみを購入するように心掛けましょう。また、コンビニは軒並み商品の価格が高いので、原則利用しないことも大事です。
買い物をする場所を決めリストを作成する
買い物のしすぎを防ぐために、事前にどの食材をどこで購入するかを決め、買い物リストを作成することも大事です。数点の食材を購入する程度ならば、メモ帳に軽く記載しておくだけで問題ないでしょう。
近年は買い物アプリも数多くリリースされているので、スマートフォンにインストールしておき、うまく活用するのもおすすめです。会計機能が搭載されていたり、家計簿アプリと連携できたりするものも多いので、自分がどれぐらい出費しているか、その都度確認ができて便利です。
メモ帳やアプリなどの買い物リストに記載されている食材以外は、基本的に購入しないように心掛けましょう。
低価格商品に注目する
低価格のプライベートブランド商品など、一定の品質で安く購入できる商品を中心に、買い物プランを考えてみるのもポイントです。
小売店が独自に運営しているブランドならば、ほかのブランドの商品よりも安く購入できる傾向にあり、有名なメーカーや、生産者の品物と変わらない質の食材も多くあります。
また、できる限り保存が利く食材を中心にすることで、買い物の回数を減らすのもおすすめです。栄養バランスを考えると、鮮度のある食材は欠かせませんが、タマネギやニンジン、ジャガイモなどは価格も安めで、一定の保存が利く食材です。
また、卵や納豆、缶詰などもおすすめなので、価格が安い時にまとめ買いをするのもよいでしょう。
キャッシュレス決済を利用する
電子マネーなどのキャッシュレス決済で支払うようにすれば、使うたびにポイントが溜まるサービスが多いので、お得に買い物ができます。
家計簿アプリと連携できるものもあり、自分で計算しなくても何にいくら使ったかをアプリ上ですぐに確認できて便利です。さらにキャッシュレス決済を生活の中心にすれば、現金をATMで引き落とす際の手数料も削減できます。
近年は急速にキャッシュレス化が進んでおり、工夫次第でさまざまな節約が可能なので、食材に限らず全ての支払い方法を見直してみるとよいでしょう。
食費を節約する調理のコツ4選
次に、食費を節約する調理のポイントを解説します。作り置きをして調理の手間を減らすとともに、定期的に冷蔵庫の中身をなくすメニューを考えるなど、ちょっとした工夫で食費の節約が可能です。
作り置きをしておく
自炊は食費を節約する基本ではありますが、毎日の自炊は生活の負担になるだけではなく、食材を余らせる可能性もあります。そこで、作り置きできるものはまとめて作っておくと、結果的に節約になるのでおすすめです。
毎日仕事で出勤する必要があるならば、一部は休日に調理し、何日かに分けて食べるようにするとよいでしょう。
まとめて冷凍しておき、1日分を電子レンジで解凍して消費するといった方法もあります。作り置きすれば食材が無駄になりづらく、追加で購入する時間や手間も減らせるため、結果的に食費の節約になります。
冷凍保存を利用する
余った食材はすぐに冷凍保存しておけば、次回の調理の手間を省きつつ、無駄な買い物も防げるようになります。
一度に使いやすい大きさにまとめておき、下味を付けた状態にしておくといった工夫をすれば、調理の手間を省けます。忙しい時でも自炊が可能になるでしょう。食材を最後まで、有効に活用する意識を持つことが大事です。
ただし、人によっては冷凍のしすぎにより、いつまでも食材が消費されないケースも珍しくありません。
すでに説明したように、買い物の前には冷蔵庫・冷凍庫の中身をよく確認し、無駄な買い物をしないように注意しましょう。作り置きをしたら、計画的に消費する必要があります。
冷蔵庫の在庫をなくすメニューを考える
作り置きの品で冷凍庫の中身が圧迫されたり、冷蔵庫の中に賞味期限切れのものが発生したりするなど、食材の無駄が発生しないように、週に一度は冷蔵庫の在庫をなくすメニューを考えるのもよいでしょう。
食材によっては、冷蔵しても駄目になりやすく、放置していると食べられなくなる場合もあります。
また、冷蔵庫の中が乱雑な状態だと、冷蔵の効率が悪くなり、無駄な電力を消費してしまうので注意が必要です。
冷凍庫は物が入っているほど消費電力を抑えられる傾向がありますが、冷蔵庫は電気代の無駄が発生する可能性があります。基本的に物を入れすぎないようにして、常に整理整頓をしておきましょう。
缶詰やレトルト食品もうまく取り入れる
缶詰やレトルト食品などは、調理に手間がかからず、品質もよいものが多くあります。うまく使えば自炊の時短になるので、適度にメニューに取り入れるとよいでしょう。
長期保存が利くので、安いときにある程度まとめて買っておくのもおすすめです。特になかなか自炊の時間が取れず、外食の頻度が高くなってしまう人は、缶詰やレトルト食品を活用したメニューを考えるとよいでしょう。